給付型奨学金を活用しましょう!

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

今回は前回に引き続き、「奨学金」について取り上げたいと思います。

前回は「貸与型」でしたが、今回は「給付型」のお話しをします。

前回も書いたとおり、「貸与型」は「奨学金」という名の借金です。しかし、「給付型」は、学生に文字通り「給付」されるものであり、返還をする必要がありません。

できれば給付型奨学金を活用し、返済の苦難に巻き込まれることなく、卒業と同時に将来のライフイベントに集中できる計画を考えたいものです。

1 給付型奨学金の種類

前回のコラムでもご紹介しましたとおり、給付型奨学金は、まず「日本学生支援機構(以下、JASSO)」の奨学金があるほか、「地方公共団体奨学金」、「民間団体奨学金」、そして「学内奨学金」があります。

このうち多くの学生は「JASSO」の奨学金を利用していますが、特に私立大学などでは、「民間団体奨学金」や「学内奨学金」が充実していることもあります。

2 「JASSO」の給付型奨学金について

最初に、「JASSO」の給付型奨学金についてご説明します。

前回のコラムで「貸与型奨学金」の支給基準をご説明しましたが、給付型の場合はどうなのでしょうか。

「JASSO」の給付型奨学金には、「学力基準」と「家計基準」の2つの支給基準があります。

これを下の【表1】にまとめてみました。

【表1】「JASSO」給付型奨学金の支給基準

このように「学力基準」については、仮に成績基準に満たない場合でも、「学修意欲を有すること」とありますので、実質的に学修意欲があればOKということにはなりますが(ただし本当に学習意欲があればOKかとなると、なかなか難しいところもあるようですが)、実質的な基準となるのは「家計基準」です。

表1のとおり「年収額の上限」が定められており、家計基準を満たしている場合でも「資産基準」が別に設けられています。

このため、「JASSO」の給付型奨学金は、「修学意欲はあるけれども家庭が低所得のため、大学等への修学が困難な学生のための制度」と考えてよいでしょう。

逆に言いますと、この基準を満たしている世帯の学生は、積極的に給付型奨学金を活用すべきではないかと考えます。

次に、奨学金はいくら支給されるのでしょうか。【表2】をご覧ください。

【表2】給付型奨学金の支給例(昼間制の場合)

また、これとは別枠で、授業料の減免も受けられます。【表3】をご覧ください。

【表3】授業料の減免額(大学の場合)

給付奨学金と授業料等の減免はセットと考えましょう。

同時に活用すれば、国・公立であれば進学費用が実質ゼロ円、私立でも大幅に進学費用負担が軽減されます。

また申込み方法は、貸与型と同様に、「予約採用」と「在学採用」の2種類があります。

これを表にしたのが、【表4】です。

【表4】 「JASSO」給付型奨学金の申込み方法

高校3 年生時点で進学後の奨学金を予約する(ア)予約採用と、大学への進学後に申請する(イ)在学採用の2 種類があり、申込時期がそれぞれ異なります。

(ア)予約採用は具体的に志望校が決まっていなくても申請ができます。

3 「JASSO」以外の給付型奨学金について

ここからは、「JASSO」以外の給付型奨学金について書きたいと思います。 世帯年収などで「JASSO」の給付型奨学金が活用できない世帯も、これらを活用できる可能性があります。「学外奨学金」と「学内奨学金」に分けてご説明します。

(1) 学外奨学金

「JASSO」以外の学外奨学金には、「地方公共団体の奨学金」と、「民間団体の奨学金」があります。

地方公共団体の奨学金は貸与型が多く、数少ない給付型でも支給額が少額であることが多いです。とはいえ可能性が全くないわけではないので、お住まいの都道府県と市区町村の地方公共団体奨学金をそれぞれあたってみましょう。

また、民間団体の奨学金は、出身地や学部などを限定しているものもありますが、条件が合うようなら活用できる可能性が大きく広がります。お子様が希望する大学や学部などに活用できる奨学金がないか、ぜひチェックしましょう。

(2) 学内奨学金

特に私立大学の中には、「これだけ大人数ならば、給付型奨学金を利用できるかもしれない」と思えるような人数を募集している学校もあります。

そしてこの情報は、学生の間ではあまり知られていないこともあります。

勉学に忙しいお子様に代わって、ご両親が積極的に情報収集なさることをおすすめします。

4 おわりに

今回は、「給付型奨学金」を取り上げました。

上述しましたとおり、「JASSO」の給付型奨学金は低所得世帯が対象であるため利用できない世帯も多いかと思いますが、民間団体の奨学金や学内奨学金などは、活用できる可能性があります。

給付型奨学金を活用することで、お子様進学後の家計収支が数百万円変わることもあります。

あくまでお子様のご事情が最優先ではありますが、ご事情が許されるのでしたら、給付型奨学金が充実している大学等を進路選択の基準に加えるのも「あり」なのではないかと思います。

次回はまた別のテーマで、書こうと思います。

今回もご覧いただきありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。