くわしく解説!「シニア向け医療保険」

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

今週と来週は、一昨日(3日)に「FMおたる」で放送した「FP辰田のサン・サン・トーク!」とのコラボ企画になります。

一昨日は、「シニア世代の「生命保険」選びのポイント」というテーマで、FMおたるアナウンサーの田口智子さんとお送りしました。

まだお聞きになられていない方は、よろしければこちらからお聞きください。

さて今回のコラムでは、放送でお話しした「シニア向け医療保険」について、さらに詳しく書こうと思います。

最近は高齢化もあいまって、「シニア向け医療保険」に加入をされるシニアの方が増えていますし、私の事務所にご相談に来られたお客様からも、時々聞かれることがあります。

しかし、この保険の特徴をよく知らないまま、まわりの方に流されて加入される方も少なからずいらっしゃるように思います。

本日は放送でお話しできなかったことも触れたいと思いますので、加入をご検討されている方はぜひ参考にしていただきたく思います。

※ 本コラムは、「シニア向け医療保険」の一般的な商品の特徴を説明することが目的であり、保険の募集を目的としたものではありません。

1 「シニア向け医療保険」は何が違うの?

最初に、「シニア向け医療保険」はどのような保険なのか、ご説明します。

先ほども書いたように、最近は高齢化が進んでいます。このため、たとえばお仕事を65歳で退職後も、20年、人によっては30年以上も人生が続く方が増えています。その分、入院などによる医療費の負担も大きくなることを背景に、シニア向け医療保険のニーズが高まっています。

このため保険会社の側も、新たにシニア向けの医療保険を発売するようになりました。

たとえば、よくテレビCMで流れているオリックス生命の「キュア」ですとか、メディケア生命の「メディフィット」、アフラック生命の「EVER Prime」、チューリッヒ生命の「プレミアムZ」、ネオファースト生命の「ネオdeいりょう」、FWD生命の「FWD医療」のほか、多くの少額短期保険会社(※)でも発売されています。

※ 本コラムでは、保険会社が販売する「医療終身保険」についてご説明します。なお、少額短期保険会社が販売する「シニア向け医療保険」は、保険会社が販売する保険商品と異なる特徴がいくつかありますが、字幅の関係上、別の機会にご説明したく思います。

2  「シニア向け医療保険」の2つの特徴

次に、放送でもお話しをしましたが、「シニア向け医療保険」の大きな特徴を、二つご説明します。

その一つは、高齢でも加入ができるということです。

現在は、85歳まで加入できる商品が多いです。

大事なので繰り返しますが、「保障される年齢」ではありません。「加入できる年齢」です。

そして多くの保険の保障期間は終身、すなわち一生涯保障されます(ちなみに「少額短期保険」の場合は、89歳まで保障される商品が多いです)。

そしてもう一つは、「持病をお持ちの方が加入できる」ことを売りにした保険が多いということです。

医療保険や生命保険は、保険会社が申込みを引受ける基準により、一般的に3つの種類に分類できます。

それは、引受けが厳しい順に、「一般の保険」、「引受基準緩和型保険」、そして原則誰でも加入できる「無選択型保険」です。

「シニア向け医療保険」の場合、「一般の保険」は少ないです。

それはそうですよね。多くのシニアの方は、何らかの持病をお持ちかと思いますが、「一般の保険」ですと、多くの方が加入できなくなってしまいます。

このため、シニア向け医療保険の多くは、「引受基準緩和型保険」です。

これは、保険会社から聞かれる3~5問程度の質問(これを「告知項目」といいます)に対する答えがすべて「いいえ」なら、保険に加入できるといった保険です(「はい」があっても加入できる商品もあります)。

告知項目の例をあげると、こんな感じです。

「告知項目」の例

1 最近3カ月以内に、医師から入院・手術・検査のいずれかをすすめられたことがありますか。または、現在入院中ですか。

2 過去2年以内に、病気やケガで入院をしたこと、または手術を受けたことがありますか。

3 過去5年以内に、がん・肝硬変・統合失調症・認知症で、医師の診察を受けたことがありますか。

ということで、実際には、持病を持っている方が誰でも入れるというわけではありません。

ちなみに、この「引受基準緩和型」に入れない方が保険の加入を望む場合は、基本的に誰でも加入できる「無選択型」の保険に加入をすることになりますが、当然ながら保険料が大幅に高くなります(一般の保険と比べて2倍以上になると思います)。

3 「シニア向け医療保険」の保険料や注意したいこと

最後に、保険料や注意点などを書こうと思います。

まずは保険料ですが、たとえば新たに入院日額5,000円の保険に加入する場合…

シニア向け医療保険の保険料の目安

・65歳 男性…約6,000円、女性…約5,000円

・70歳 男性…約7,000円、女性…約6,000円

・75歳 男性…約8,000円、女性…約7,000円

(※終身払い、1入院当たり60日型の保険に新たに加入する場合)

といった額が、一つの目安になると思います。(ただし、それぞれの商品に独自の特徴やサービスがありますので、保険料のみで商品を単純に比較できるものではありません。)

これに特約などを付けますと、さらに保険料が高額になります。決して安い額ではないので、加入にあたっては、高額療養費制度などの公的医療制度で賄うことができる医療費などを調べたうえで、必要最小限の保障額や内容で加入するようにしましょう。

また放送でも少しお話ししましたが、医療保険で特に注意したい点をお話しします。

それは、入院期間の取扱いについてです。

医療保険は、入院給付金の支払い日数が通算1,000日とか無制限といった商品も多いのですが、多くは1入院当たり60日型になります。

近年は、全般に入院期間が短くなってきていますが、それでもシニアの場合、たとえば神経系の疾患や脳血管疾患、腎臓病やケガ(骨折)などは入院期間が長くなりがちです。そのような場合、1入院60日型ですと、61日目からは入院給付金が支給されないので注意が必要です。

また、多くの医療保険には「180日ルール」というものがあります。これは退院後180日以内に再び入院をした場合に、前の入院と原因が同じであるとか、医学上重要なつながりがあると判断された場合は、前の入院日数と通算される、というルールです。

たとえば肺ガンで30日入院後、4か月後に転移のため再入院をした場合、2度目の入院は31日目からカウントされるということになります。

これらが心配な方は、1入院当たり120日型の保険や、成人病などは無制限とする特約も一部で取扱いがありますので、保険料を比べたうえで、ご検討されると良いと思います。

また、商品(あるいは特約)によっては、加入後一定期間は保険金が削減される(あるいは支払われない)といった商品もあります。この点も事前にしっかり確認したいところです。

最後に、これは放送でもお話しをしましたが、シニアの方が加入できる「一般の保険」もあります

当然ながら、「引受基準緩和型保険」よりも「一般の保険」の方が、保険料が安くなる可能性が高いので、「一般の保険」に加入ができそうな方は、まずはそちらへの加入を検討しましょう。

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

来週も、「FP辰田のサン・サン・トーク!」とのコラボ企画としてお送りしますが、来週は「シニア向けの死亡保険」について、よりくわしくご説明しようと思います。お楽しみに!