「ペアローン」のメリット・デメリット

ご覧いただき、ありがとうございます。

今回は、住宅ローンを組む際に利用されている方が増えている「ペアローン」について書こうと思います。

ここ数年は、住宅価格の上昇傾向が続いていることに伴い、住宅ローンの借入額も増えている傾向にあります。

また最近は、固定金利ローンの利率も上昇傾向にありますし、日銀の金融政策の動向などによっては、変動金利ローンも上昇に転ずる可能性もあるといえます。

このような背景もあって、住宅を購入される際は、共働き夫婦の方を中心に「ペアローン」を組まれる方が増えています。

しかし、この「ペアローン」には、メリットもある反面、注意すべき点も多くあります。

今回は、そのようなことを書こうと思いますので、よろしくお願いいたします。

1 そもそも、「ペアローン」とは?

ペアローン」とは、住宅の取得に際し、夫婦あるいは親子がそれぞれにローンを借り入れて、並行して返済していくタイプのローンをいいます(これらは「夫婦ペアローン」、「親子ペアローン」と呼ばれたりしています)。

それぞれの借入者の年収に応じた融資上限額が設定されますので、単独で借り入れるよりも多く借り入れることができます。

また、それぞれが団体信用生命保険に加入しますので、たとえば「夫婦ペアローン」の返済中にご主人がお亡くなりになった場合、団信によって夫名義のローンがなくなり、奥様はご自身の名義のローンの返済を行うだけでよくなります。

民間の各種調査を見ますと、特に若い世代が「夫婦ペアローン」を利用するケースでは、世帯主が単独で住宅ローンを借りる場合と比べて約1.5倍の額を借り入れているケースもあるようです。

この「ペアローン」ですが、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

2 注意すべき点は?

ご存じのとおり、「住宅ローン」は、長期(一般に最長35年間)に渡って返済をしなければなりません。

そして、その返済をしている間、人生様々なことが起こり得ます。

「ペアローン」の場合、借入者は互いに相手の債務の連帯保証人となるのが一般的です。

このため、仮に(傷病や介護、失業などによる収入減などで)一方の借入者の返済が行き詰まってしまうと、もう一方の借入者は、自身のローン返済を続けながら相手の債務も返済する義務が生じてしまいます。

また「夫婦ペアローン」の場合は、「離婚」も大きなリスクと言えます。

一般的に、離婚後は(夫婦の)どちらかは家から出ていくことになるでしょうから、家を片方の所有に変え、ローンもその所有者の単独の債務に変更する必要があるでしょう。ただ、自宅の購入後数年で離婚するような場合ですと、当然ながら残債も多くなります。そのような場合、繰り上げ返済などをしなければ、ローンの債務者を1人に変えることを金融機関に認めてもらえないのが一般的です。

そうなりますと物件の売却が選択肢になりますが、ローン残高を下回る価格でしか売れず残債分を補てんできないと、離婚後も返済が続くことになってしまいます。

このため、ペアローンを組む場合は、相手のローン債務を連帯保証しなければならないことを理解し、借入者(夫婦など)が最長35年もの返済期間、互いにタッグを組んで返済を続けていくことが本当にできるのか?」ということをしっかりと考える必要があります。

これは 「今後のライフプランにおける、大きな制約を受け入れること」と言っても、決して大げさではないと思います。

3 住宅ローンを組む際に、注意したいこと

いかがでしょうか。

「ペアローン」について注意すべき点を挙げましたが、(上述したとおり)単独では借りられない多額のローンを借りることができるほか、借入者がそれぞれ住宅ローン控除を利用でき、将来のライフプランに合わせて借入者がそれぞれ全く別のタイプのローンを組める(たとえば、夫が固定金利の35年ローン、妻が変動金利の15年ローンを組むなど)といった利点もあり、上手に使えば有効な手法ともいえます。

要は、どのような借入方法を取るにせよ、結局は「いくら借りるか」ということが問題だということです。

借入れ可能な金額と、実際にゆとりを持って返済できる金額は異なります。住宅購入を検討する際は、慎重に考えましょう。

毎月の返済額は「手取り」ベースで考えること、子どもの教育費など将来かかる費用も見積もっておくこと、そしてどちらかが働けなくなっても返済可能な金額であること…なども考慮したいものです。

そしていつも書いていますが、「考えるのが面倒だ…」ですとか、「考えてもよく分からない…」といった方は、ぜひ当事務所にご相談ください!

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

さて、毎週金曜日に掲載をしております本コラムですが、6月から当面の間、掲載を不定期へと変更させていただくことといたしました。

(くわしくは、本日5月26日付けのこちらの投稿をご覧願います。)

コラムを掲載する際は、当事務所のfacebookページでもお知らせをさせていただきます。

なお、FMおたる「FP辰田のサン・サン・トーク!」とのコラボ企画は、引き続き続けます。

FMおたる「FP辰田のサン・サン・トーク!」

次回は、6月7日(水)午前11時から11時半までの放送です。

テーマ:公的老齢年金の仕組み~今月から、年金額が変わります!~」(くわしくは、こちらからどうぞ)

生でお聞きになれない方も、「FMおたる」ホームページから「録音放送」をお聞きになれます!

このため、次回のコラム掲載は、放送後となる6月9日(金)を予定しております。

皆さんにはご不便をおかけいたしますが、引き続き本コラムをよろしくお願い申し上げます。