知っておきたい!「個人賠償責任保険」のこと
ご覧いただき、ありがとうございます。
今日は、「個人賠償責任保険」のことについて書こうと思います。
「個人賠償責任保険」。この保険自体は、多くの方がご加入されているのではないかと思います。
また、特にお子様のいるご家庭では、ぜひとも加入をしていただきたい保険です。
ただ、この保険を単独で加入するケースは実は少なく、たとえば「火災保険」や「自動車保険」、あるいは「道民共済」や「全労災」など、他の保険や共済の特約として加入するのが一般的です。
このため知らず知らずのうちに加入していることもあるかもしれません。
そして、ご加入している方でも、「この保険のことがよく分からない…」といった方もいらっしゃるのではないかと思います。
今回は、この「個人賠償責任保険」の商品性や、加入にあたって注意すべきことなどを、ご説明します。
1 そもそも、「個人賠償責任保険」とは?
まずは、「個人賠償責任保険」とはどのような保険なのか、ご説明したいと思います。
たとえば、皆さんの日常の生活の中で、他人(いわゆる第三者)にケガをさせたり、人のモノを壊してしまったことはないでしょうか?
このような場合に、法律上の損害賠償義務を負うことがありますが、これをカバーする保険が「個人賠償責任保険」です。
気になる保険料ですが、補償額を1億円とした場合でも、年額2,000円(月額200円)程度のものが多いです。それほど高額ではなく、「コスパの良い」保険といえるかと思います。
それでは、どのようなときに補償されるのか、具体的にご説明します。
2 こんなときに、補償されます
「個人賠償責任保険」では、たとえば次のようなときに補償の対象となります。
「個人賠償責任保険」で補償の対象となる場合(一例です)
・マンションで洗濯機の排水ホースが外れて、階下に水漏れしてしまった。
・飼い犬が散歩中、通りがかった人に噛みついてケガをさせてしまった。
・買い物に行ったときに、誤って商品を落として壊してしまった。
・子どもが、友達の家の骨董品を誤って壊してしまった。
・自転車で駅に向かう途中、人にぶつかってケガをさせてしまった。
・スキーをしていて、人にケガをさせてしまった。
・ビュッフェバイキングで、トレーにのっていた食事を落とし、人の服を汚してしまった。
・2階のベランダから植木鉢を落とし、通行人にケガをさせてしまった。
このような事例を挙げると、本当にキリがありません。
ただ、どれも身近にありそうなトラブルといえるのではないでしょうか。
このような場合に、相手に支払う損害賠償金や、被害者に対する手当や病院への搬送費用などが補償されます。
さて「個人賠償責任保険」は、「日常生活で起こりうる偶然な事故」を対象とする保険です。
このため、たとえば次のような場合には補償がされませんので、注意が必要です。
「個人賠償責任保険」で補償の対象とならない場合(一例です)
・レストランでアルバイトをしているときに、料理をこぼして客の服を汚してしまった
→職務や業務に起因する損害には保険金は支払われません。
・友人から借りたカメラを壊してしまった
→被保険者の範囲ではない人から預かっているものは、原則、保障の対象外です。(ただし、対象としている保険もあります)
・自動車やバイクで、事故を起こしてしまった
→車両の所有や使用、管理に起因する賠償責任などは、保険金は支払われません(一般に、自動車保険の補償対象となります)
・ケンカした相手にケガを負わせてしまった
→当たり前ですね…。
ちなみに、たとえば台風で屋根が飛ばされて、隣の家を破損させた場合はどうなるのでしょうか。
この場合、一般的には自然災害は不可抗力として責任を問われません。
したがって、個人賠償責任保険の補償対象にはならず、破損した家の所有者が、ご自身の火災保険で補償を受けることになります。
ただし、もともと屋根が壊れかけていて危険性を指摘されていたり、それを知りながら放置しているようなケースだと、管理責任を問われる場合もあります。このような場合には一般的に個人賠償責任保険の補償対象になります。
ただ、個人賠償責任保険で損害賠償リスクをカバーできるとはいっても、日ごろからメンテナンスを行い、他人に損害を与えないよう注意することが大切です!!
また「個人賠償責任保険」は、対象となる人の範囲が広いです。通常は、次のとおりとなります。
「個人賠償責任保険」の対象となる人
・本人
・配偶者
・同居の親族(本人からみて、「親や兄弟姉妹」までは普通に対象になります)
・生計を一にする別居の未婚の子(親元を離れて仕送りを受けている学生など)
このため世帯主が加入していれば、一般に家族全員をカバーできます。「一家で1契約」加入していれば安心、というわけです。
3 「個人賠償責任保険」で注意したいこと
いかがでしょうか。
最後に、この保険で注意したいことをいくつかあげたいと思います。
「個人賠償責任保険」で注意したいこと
① 保険金額は、できれば無制限、少なくとも1億円以上に!
→ 第三者が万一死亡したり、高度障害を負うと、その補償額は1億円以上になる場合もあり得ます。上述したとおり、高額な保険料ではありませんので、保険金額はできれば無制限、少なくとも1億円以上にしましょう。
② 「示談交渉サービス」を付けましょう!
→ この保険を使う場面では、あなたは必ず加害者の立場になります。加害者として被害者と直接交渉するのは、とても辛く大変なことです。このため最近の「個人賠償責任保険」では「示談交渉サービス」を付帯できるものがありますが、ぜひ付けるようにしましょう。
③ 重複して加入していませんか?
→ 上述したように、この「個人賠償責任保険」は、様々な保険や共済の特約として気付かないうちに複数加入していることがあるほか、家族で重複して加入していることもあります。そのような場合は、保険料も重複して払うことになります。損害保険は生命保険と異なり、重複加入しても一般に実損額までしか補償されません。重複して加入していた場合は、見直しをしましょう。
というわけで、今回は「個人賠償責任保険」について書きました。
最初に書いたように、比較的安い保険料で、日常生活における偶然の賠償事故に備えることができますので、特にお子様や飼い犬のいるご家庭などは、ぜひ加入しましょう。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
来週と再来週は、「FMおたる」で5月3日(水)に放送する「FP辰田のサン・サン・トーク!」のテーマ(「シニア世代の「生命保険」選びのポイント」)に関連した内容を、お届けします。
放送と併せて、ぜひお楽しみに!
FMおたる「FP辰田のサン・サン・トーク!」
次回は、5月3日(水・祝)午前11時から11時半までの放送です。
テーマ:「シニア世代の「生命保険」選びのポイント」(くわしくは、こちらからどうぞ)
生でお聞きになれない方も、「FMおたる」ホームページから「録音放送」をお聞きになれます!