生前贈与の「失敗パターン」とは?
ご覧いただき、ありがとうございます。
先日書きましたとおり、8月の4回は「贈与で失敗しないための基礎知識」をテーマにして、コラムを書いていこうと思います。
第1回の今回は、「生前贈与の失敗パターン」について書きたいと思います。
私は日ごろ、お客様から様々な家計相談を受け、アドバイスを行っておりますが、アドバイスに当たっては、「(お客様が将来予測される)家計の問題を未然に防ぐ」ことを常々考えておりまして、それには「失敗例を知って、そこから学ぶ」ことは、とても大事なことと考えております。
それでは今回は、生前贈与における「3つの失敗例」をご紹介します。
1 贈与し過ぎて、老後資金が足りなくなった…
このパターンは意外と多いようで、私の周囲にも、このような方がいらっしゃいます。
お子様や、かわいいお孫様に贈与をしたくなるお気持ちは、とても良く分かりますが、それによってご自身の生活が破綻しては、元も子もありません。
以前のコラムでも紹介したとおり、最近は「人生100年時代」とも言われるように長寿化が進んでおり、その分老後資金も多くかかります。
また、ご自宅の修繕費や介護への出費など、意外と思わぬところで大きな出費が発生することも多いものです。
対策としては、ご自身の現在の資産、そして今後予想される収入や支出を洗い出して、あらかじめ贈与ができる額を把握しておくということに尽きますが、不安な方は、私のようなファイナンシャル・プランナーに、ぜひご相談をいただければと思います。
2 贈与をしたけど、贈与税のことをよく知らなかった…
大半の方は贈与税のことを意識して生前贈与をされているかはと思いますが、贈与を行う場合には、贈与税のことを知っておくことがとても大切です。
また、贈与税は受贈者(贈与により財産をもらった方)に対してかかる税金ですから、受贈者サイドにそのことをお伝えしておくことも大切です。
例えば、お孫様に1,000万円の贈与をする場合には、贈与税はいくらかかるのでしょうか。
・お孫様が贈与年の1月1日現在で18歳(※)未満の場合
一般税率が適用され、贈与税は
(1000万―110万(基礎控除))×40%-125万=231万円
・お孫様が贈与年の1月1日現在で18歳(※)以上の場合
特例税率が適用され、贈与税は
(1000万―110万(基礎控除))×30%-90万=177万円
(※)改正民法施行(2022年4月1日)後の贈与の場合。施行前の贈与については20歳となります。
詳細は次回以降に改めて書こうと思いますが、このような額の贈与税が発生しますし、もちろん申告も必要です。
また、条件(上の例の場合は「お孫様の年齢」)によっては特例税率が適用され、贈与税が軽減される場合もあります。
ただ、贈与税には様々な非課税制度もありますので、活用が可能な場合には、ぜひ活用したいものです。これについては、次回以降の本コラムで取り上げたいと思います。
3 贈与をした「つもり」が、認めてもらえなかった…
これもよくあるパターンです。
例えば、祖父が孫名義の銀行口座を作って1000万円を入金し、その通帳を祖父が管理していましたが、そのままお亡くなりになったとします。
この場合、孫名義の口座の1000万円が、すんなりお孫様のものになるかというと、そうはなりません。あくまでも祖父の相続財産として取り扱われます。
生前贈与は、正しい「手続き」を踏んで行うことが重要となります。これについても、次回以降の本コラムで取り上げたいと思います。
今回は3つの失敗パターンを取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか。
次回以降は、贈与税の基本的な仕組みや、知っておくと役立つ知識などをご紹介したいと思いますので、お楽しみに!
ご覧いただきありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。