「介護」に関するデータをご紹介します
いつもご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、「介護」をテーマにして、コラムを書きたいと思います。
この内容は、10月から開催している「小樽道新文化センター」セミナーの、第4回講座(介護保険の仕組みを学び、親や自分の介護に備えましょう)でお話しした内容の一部となります。
一般的に、50~60代の方は、ご両親の介護を終えられたか、あるいは現在行っているなどして、その必要性を実感した(している)方も多いのではないかと思います。
ただ、ご自身や配偶者の介護については、まだまだ先の問題すぎて、実感がわかない方も多いかと思います。
本日は、「介護」に関する最新のデータを、いくつかご紹介しながら、このことを考えてみようと思います。
1 いつから、どのような原因で?
まずは、「介護」に関するデータをいくつかご紹介します。
最初に、「介護が必要となった原因」をご紹介します。
【図1】介護が必要となった原因
この結果を見て、私は意外に感じました。「介護」が必要になった原因というと、「高齢による衰弱」が最も多いイメージがあったからです。
しかし現実には、1番多いのは「認知症」、そしてその次が「脳血管疾患(脳卒中等)」ということで、身体的な原因ではなく、むしろ「脳」の疾患によって介護が必要となるケースの方が圧倒的に多いのですね。
また、「脳血管疾患(脳卒中等)」は、前触れもなく突然発症することが多い病気です。そう考えますと、現在お元気な高齢者であっても、発症によって突然、介護が必要になる事態になることも十分にあり得ます。
そういったときに慌てないよう、万一の「備え」は、常に考えておかなければならないのではないかと思います。
また、第4位が「骨折・転倒」であることも見逃せません。ご高齢になりますと足腰が衰え、ちょっとした段差などにつまづくようなこともありますし、これからの冬の季節、滑って転倒することもあります。
お出かけ時に気を付けることはもちろんですが、自宅においても、段差をなくしたり、廊下や浴室などに手すりを付けるなどの「バリアフリーリフォーム」を早目に行っておくことも大事なのではないかと思います。
もう一つ、「年齢階層別の介護保険受給者割合」のデータをご紹介します。
【図2】年齢階層別の介護保険受給者割合
このデータを見ると一目瞭然、80歳以降に急上昇していることが分かります。
そして90歳以上になると、男性は約2人に1人、女性ですと約3人に2人は、介護保険受給者であることが分かります。
したがって、たとえば70代のご両親が、「自分はまだまだ元気だから大丈夫」だと話すようでしたら、「問題は、80歳を過ぎてからだよ!」と教えてあげるとともに、今からできる「予防策」や「備え」を一緒に考えてあげましょう。
2 期間や費用は、どのくらい?
今度は、「介護を行う(行った)側」に関するデータをご紹介します。
最初に、「介護をした期間」に関するデータをご紹介したいと思います。
【図3】介護をした期間
介護をした期間が「1年未満」であった方が約10%おられる反面、「10年以上」の長期にわたった方も約17%おられるなど、非常に「バラつき」が大きいのですが、この平均期間は「5年1か月(月に換算すると、61か月)」になります。
従いまして、「介護に要する期間は約5年」というのが一つの目安になるかとは思いますが、上述しましたように、非常にバラつきが大きいです。
そしてもう一つ、「介護に要した費用」について。まずは「月々要した費用」、いわゆる「ランニングコスト」をご紹介します。
【図4】介護に要した費用(月々の費用)
こちらもバラつきが大きいのですが、これは一般的に、「施設介護」と「在宅介護」で、かかる費用が大きく異なるためです。
「ざっくり」した話で大変恐縮ですが、私が様々な資料を見る限りは、「施設介護」に要する費用は月額約15万円、「在宅介護」に要する費用は月額約3万円が、一つの目安になるのではないかと思います。
このため、この平均費用が「どれほど意味を持つ数字か」と言われると何とも言えませんが、月額8万3千円となっています。
そして、そのほかに住宅改修や福祉用具の購入、施設への一時金など「一時的に要する費用」も発生します。これもバラつきが大きいですが、平均は約74万円となっています。
これらのデータから、「介護に要する費用」はどのくらいなのか、ということが分かります。
「介護に要する費用」は、いくらでしょう?
・「介護に要する費用」=「介護を行った期間」×「介護に要した月々の費用」+「介護に要した一時的な費用」
= 61か月 × 8万3千円 + 74万円
= 約580万円
ということで、「介護に要する費用」の平均値は、約580万円と計算されました。
しかし、何度も繰り返し恐縮ですが、これはあくまで「平均値」であって、実際は「バラつき」が非常に大きいことをご承知おきいただきたく思います。
3 おわりに
本日は「介護」に関するデータをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
「介護」に関しては、選択枝も非常に幅広く、お金をかけようと思えば、いくらでもかけることができます。
しかし当然ながら、それは「介護を受ける方」はもちろん、「介護を行う方」の将来の生活にもかかわりますので、「介護にいくらかけることができるのか」を事前に把握し、そのうえで方針を立てておくことが、極めて重要と言えます。
当事務所でも、「介護資金」に関するご相談をお受けし、実績もございます。もしご不安などございましたら、お気軽にご相談ください。
次回はまた、異なるテーマで書きたいと思います。
今回もご覧いただきありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。