「障害年金についてのQ&A」をシェアします

ご覧いただき、ありがとうございます。

12月6日(水)に「FMおたる」で放送した、「FP辰田のサン・サン・トーク!」。

今回のテーマは、「万一のときに役立つ、「障害年金」のあらまし」でした。

まだお聞きになられていない方は、こちらからお聞きください。

さて、当番組の後半パートは「障害年金」についての「Q&A」でしたが、放送時間の関係もあり、一部の質問をご紹介しきれませんでした。

そこで本コラムでは、番組内で紹介をしたものを含めたご質問のすべてを、皆様にシェアしたく思います。ご参考になれば幸いです。

入社して間もない会社員の場合、障害厚生年金は微々たる額しか支給されないのでは?

番組前半でお話しした「障害厚生年金額の計算の原則」ですと、確かにその通りなのですが、それでは制度上よろしくないので、「加入月数が300か月(25年)未満の場合には、加入月数を300月とみなす」という規定が別に設けられています。

このため、たとえば入社1年の社員が事故などで障害を負った場合には、厚生年金に25年加入したものとみなし、この例では「計算額を25倍(=300か月/12か月)した額」が支給されることになります。

障害年金をもらいながら働いても、問題はないですか?

障害年金は働いていても原則支給されますし、所得制限もありません。事実、厚生労働省の「令和元年 障害年金受給者実態調査」によりますと、障害年金受給者の約3人に1人は働いています。

ただし、障害年金の受給者は、引き続き障害年金を受ける権利があるかどうか、障害の状態を確認するため「障害状態確認届(診断書)」を毎年1回提出し、その診断書により障害状態の判定がなされますので、その判定に影響が生じる可能性はないとはいえません。このあたりは、現在の症状などについて、主治医とコミュニケーションを取ることが大事かと思います。

業務上の事故で障害を負った場合は、労災保険と両方もらえるのでしょうか?

この場合、障害年金は全額支給されますが、労災保険は減額された額が支給されることになります。この理由としては、これらが全額支給されることになった場合には、働いている時の給料よりも多い額が支給されることがあるためです。

なお、労災保険から支給される額の減額率は、支給される年金の内容によって異なりますが、おおむね2割前後です。

障害が重くなったり、軽くなったりした場合はどうなりますか?

番組の前半でお話ししたように、障害年金の額は障害の程度によって異なりますので、障害の程度が重くなったときには年金額が増額され、反対に軽くなったときには減額、もしくは支給停止されます。年金額の変更(障害等級の見直し)は②で話したとおり、診断書を定期的に提出して自動的に行われますが、障害の程度が重くなったときは年金額の改定を申し立てることもできます。

先天性の病気がある子どもは、障害年金を受けられますか?

先天性の病気などにより20歳前から障害がある方も、条件を満たせば障害基礎年金を受けることができます。ただし、あくまでも障害年金を受給できるのは20歳からですので、20歳を過ぎてから手続きを行うこととなります。

なお、2つ目の質問に対する回答で、「障害年金には原則所得制限はない」と書きましたが、このケースでは本人の所得制限がありますので、ご注意願います。

※年金は「保険」ですので、保険料を納めることが本来の支給要件となりますが、お子様は保険料を納めていないことから、このような所得制限が設けられています。

ちなみに、20歳未満のお子様を養育する父母などは「特別児童扶養手当」、お子さん本人は「障害児福祉手当」の支給対象となる場合があります。

障害年金は、何歳から何歳までもらえるのでしょうか?

障害基礎年金の場合は、20歳から障害年金を受け取ることができます。また、障害厚生年金の場合は、例えば中学や高校を卒業後に厚生年金に加入して働く10代の方が障害を負ったケースなどでは、20歳より前に障害年金が支給されることがあり得ます。

逆に受給が決まった後は、障害状態が続いていると認められる限り支給されるので、「○○歳になったから」という理由で、支給が停止されることはありません。

障害年金の請求は、何歳から何歳までできますか?

障害年金の請求(申請)手続きは、原則として、請求(申請)時に20歳から64歳までであることが条件になります(例外条件あり)。

また、60~64歳で老齢年金を繰上げ受給している人は65歳に達した方と同じ扱いになるため、原則として請求はできなくなりますので、注意が必要です。

障害者手帳を持っていないのですが、障害年金をもらうことはできますか?

障害者手帳と障害年金については、それぞれの基準が異なるため、直接の関係はありません。このため、障害者手帳を持っていても障害年金を受給していない人もおりますし、障害者手帳を持っていなくても障害年金を受給している人もおります。

なので、障害者手帳の有無とは関係なく、障害年金の申請をすることは可能です。

初診日を証明するにはどうすればよいですか。また、分からない場合はどうすればよいですか?

初診日は、一般的には初診時に通院をした病院で証明書(「受診状況等証明書」)を書いてもらうことで証明しますが、それが困難な場合には、病院やクリニックの診察券、会社に提出した診断書や健康診断の写し、保険会社に提出した診断書など、可能な限り初診日の参考となる資料を集めて提出することになります。

それも難しい場合には「初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明)」という書類で親族以外の第三者に証明してもらう方法もありますが、くわしくは障害年金の手続きに詳しい社会保険労務士にご相談をされた方がよいかと思います。

障害年金と老齢年金は、一緒にもらうことはできますか?

年金には「一人一年金の原則」があるため、原則、異なる種類の年金を一緒にもらうことはできませんが、障害者の稼働意欲が損なわないよう、障害基礎年金を受けられる65歳以上の人については例外として、老齢厚生年金や遺族厚生年金と併せて受給することができます。

ですので、障害者が厚生年金に加入して働いた場合でも「働き損」になることはありませんし、ご自身の将来の年金額を増やすことも可能です。

あらかじめ田口さんと準備をしていた質問は以上の10問でしたが、いかがでしたしょうか。

ご不明の点などありましたら、何なりと当事務所までお問い合わせください。

来月(新年1月3日(水))の放送は、 「(祝)番組1周年!昨年の振り返りと今年の重要トピック」 というテーマでお話しいたします。

今年の1月から始まったこの番組も、来月で1周年を迎えます!そこで、昨年の番組を振り返るとともに、今からぜひ押さておきたい今年の重要な話題などをご紹介します!

また、放送の内容など、くわしくはこちらからご覧ください。

ご覧いただき、ありがとうございました。

それでは、来月の放送もお楽しみに!