「物価高」って、今はどんな状況なの?

ご覧いただき、ありがとうございます。

今回と次回は、今月1日(水)に「FMおたる」で放送した「FP辰田のサン・サン・トーク!」でテーマに取り上げた「物価高に打ち勝つための「家計の見直し術」」の内容を、コラムにしてみようと思います。

そして今回は、現在の「物価高」の状況について、簡単にまとめてみようと思います。

1 「41年ぶり」となった消費者物価指数

それでは、最初に「物価」について見てみましょう。

家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる指数として、「消費者物価指数」があり、毎月総務省が発表しています。2022年12月の指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数で、前年の同じ月を4.0パーセント上回りました。これは第2次オイルショック時の1982年12月以来、実に41年ぶりの上昇率になります。

また北海道でも、同様に総合政策部が毎月発表していますが、2022年12月の指数は、前年の同じ月を4.5パーセント上回っており、全国よりも高い上昇率となりました。特に「食料」が9.0パーセント増、そして「燃料」も同じく9.0パーセント増と高い上昇率になっており、これが全国の指数を上回った要因ではないかと思います。

この理由はやはり、ウクライナ侵攻などを原因とした原材料高、燃料高、そして日米の金利差などによる円安の「トリプルパンチ」によるところが大きいのではないかと思います。

ただ、日本銀行が今朝発表した1月の企業物価指数(企業間で売買される物品の価格変動を示す指標)は、前年比9.5%の上昇となりました。前月の10.2%増からは若干下回りましたが依然として高水準が続いており、企業におけるコスト高を、消費者物価に価格転嫁しきれていないのが現状のようです。

帝国データバンクの調査では、昨年は年間で過去最多となる2万品目以上の食品が値上げされましたが、今年も既に4月までに、加工食品や冷凍食品などを中心に1万品目以上の値上げが決定済みとのことです。

また電気料金も先日、北海道電力が6月から約30%の「規制料金」(2016年4月の電力自由化以前から大手電力会社10社が提供している電気料金プランをいいます。対して、電力自由化以後、小売事業者が自由に決めている料金を「自由料金」といいます)の値上げを国に申請しました。電気料金は1月検針分から国の補助が始まりますが、補助分は約20パーセントとみられており、この値上げが認められますと、補助分が吹き飛び、逆に現在よりも値上がりする状態になると思われます。

このことについては、1月31日の国会で、岸田首相は「追加対策」も匂わせておりましたが、果たしてどうなるか注目しています。

なお、先ほど物価高の要因として書いた「原材料高」や「燃料高」、そして「円安」は、現在はやや落ち着きを見せています。このため、日本銀行が1月18日に公表した「展望レポート」(正式には「経済・物価情勢の展望」といいます)では、物価高は今年前半にはピークアウトを見込むものの、これらの状況もあって、23、24年の消費者物価指数は1パーセント台後半の上昇となる見込みとしています。

2 一方で賃金は?

物価が上昇したとしても、それに伴って賃金も上昇していれば、経済にとってはむしろ「好循環」といえるのではないかと思いますが、賃金はどうなのでしょうか。

厚生労働省が毎月発表する「毎月勤労統計調査」によりますと、昨年11月の労働者の1人当たり賃金(現金給与総額)は約28万8千円で、これは前年比1.9パーセント増となっています。しかし、物価の変動を加味した「実質賃金」は逆にマイナス2.5パーセントとなりました。

これは、賃金の上昇が物価の上昇に追いついていないことを表しており、いわゆる「賃金が目減りしている状態」ということを表しています。

実質賃金のマイナスは、これで2022年4月から8か月連続となっています。

最近の報道を見ると、「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングを筆頭に、サントリー、日本生命、「東京ディズニーリゾート」を運営するオリエンタルランド、スーパー大手のイオンなど、一部の大企業などでは、大幅な賃上げの動きも出てきています。ただ、先ほども書いたように、物価高で経営の厳しい企業が多くあるのも事実であり、賃上げが中小企業やパートタイムの労働者にどこまで波及するかは現状未知数なところもあります。

3 物価高での家計防衛策は?

さて、このような物価高でどのような「家計防衛策」をとるかということですが、教科書的によく言われるのは、不要な「固定費」を上手に減らすこととされています。

ちなみに毎月の家計の支出は、月単位や年単位でコンスタントに支払いのある「固定費」と、状況に応じて臨時的に支出をする「変動費」がありますが、まずメスを入れるのは「固定費」ということです。これは固定費の方が支払いの総額が大きく、一度見直せば長期的に節約をすることができるためとされています。

ということで、来週は、この「家計防衛策」についてさらに詳しく書いていくことにしたいと思います。

「来週まで待ちきれない!」という方は、「FMおたる」ホームページ内で「FP辰田のサン・サン・トーク!」のポッドキャスト(録音放送)を聞くことができますので、ぜひお聞きください!(なお来週のコラムでは、オンエアでお話しできなかった情報や最新情報なども書きますので、ぜひコラムもご覧ください!)

FMおたる「FP辰田のサン・サン・トーク!」 

2月1日(水)放送分 テーマ「物価高に打ち勝つための「家計の見直し術」は下のリンクからどうぞ!

「FP辰田のサン・サン・トーク」2023年2月1日放送 – FMおたる (fmotaru.jp)

今回もご覧いただき、ありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。