どちらがお得? 「任意継続保険」と「国民健康保険」

ご覧いただき、ありがとうございます。

小樽もこのところ10度を超える日が続き、一気に春がやってきたような陽気ですね。私は春が一番好きなので、気分も高まります!

さて今週も、FMおたる「FP辰田のサン・サン・トーク!」と連動した内容でお送りします。(くわしくはこちらをご覧ください)

今回は、3月1日の放送でお話しした「退職後の健康保険」について、時間の関係でお話しできなかったことを書きたいと思います(まだ放送をお聞きになっていない方は、こちらからどうぞ)。

放送では、「退職後の健康保険」については、

①「家族の健康保険」の被扶養者になるか、

②「国民健康保険(以下「国保」)」に入るか、あるいは

③「会社の任意継続保険(以下「任継」)」に入る

という3つの選択肢があることをご説明しました。

そして、①「家族の健康保険」の被扶養者になるのがベストですが(収入などの)条件があるので、被扶養者になれない方は、②「国保」と③「任継」の実質2択になるということもお話ししました。

それでは、この「国保」と「任継」、どちらを選んだ方がよいのか?

このことについて、放送でお話しした内容からもう少し「深掘り」をしてみようと思います。

1 病院に支払う医療費に違いはあるの?

この「国保」と「任継」、病院に支払う医療費に違いはあるのでしょうか?

答えから言いますと、支払う医療費は「同じ」です。(たとえば70歳未満(6歳未満を除く)の方の場合、病院にかかったときの医療費の自己負担割合はどちらも3割負担です。)

したがって、「国保」と「任継」を選ぶときのポイントは「保険料を比較して検討する」ということで、基本的には問題はありません。

ただし、下の枠内に該当する場合には、「国保」と「任継」を単純に比較することができないことがあるので、注意が必要です。

このような方は注意が必要です!

① 会社の健康保険で、高額療養費の「多数回該当」となっていた方

→ 国保など他の健康保険に切り替えた場合、変更前の高額療養費の該当回数を継続することができなくなります(すなわち「0回」にリセットされてしまいます)。

② 「健康保険組合」など、「独自給付」のある健康保険に加入していた方

→ 「任継」に加入した場合、引き続き(「国保」にはない)独自給付を受けることができる場合があります。

字幅の関係で「高額療養費制度」の説明は省きますが、くわしくはお勤めの会社の健康保険のホームページをご覧いただくか、以下の「協会けんぽ」のリンクをご覧ください。

高額な医療費を支払ったとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp)

いかがでしょうか。それでは、今度は「保険料」の比較をしてみましょう。

2 保険料はどちらが「お得」なの?

「国保」と「任継」、どちらの保険料が安いのか? これは番組内でもお話ししたように、「ケース・バイ・ケース」です。

ただ一般的には、

「国保」と「任継」、どっちがお得?

・「国保」の方が保険料が安くなりやすいケース

→ 退職年の前年の収入が少ない場合や、扶養家族が少ない場合

・「任継」の方が保険料が安くなりやすいケース

→ 退職直前の収入(標準報酬月額)が多い場合や、扶養家族が多い場合

放送でもお話ししたとおり、これはあくまでも「目安」です。

その理由は、「国保」と「任継」では「保険料の計算に使う材料」や「計算の方法」が全く異なるためです。

たとえば、小樽市の場合ですと…、

・「任継」では、退職時の標準報酬月額

・「国保」では、国保の加入者数、加入者全員の前年の収入、加入者全員の年齢 など

が、「保険料の計算に使う材料」となります。

とはいっても、この説明のみでは物足りないのではないかと思います。

放送では、「国保」と「任継」の保険料が逆転する月収(これは、直近1年間の賞与を月割りした額を含みます)の分岐点は「30万円」とお話ししましたが、改めて複数のケースで比較してみます。(折角ですので、放送での説明とは異なる月収額にしました。)

夫婦とも40~64歳で、配偶者が無収入の場合、保険料の月額は?

① 月収が月20万円の方

→ 国保…約23,600円 < 任継…約24,200円

② 月収が月30万円の方

→ 国保…約34,000円 < 任継…約36,300円 

③ 月収が月40万円の方

→ 国保…約46,000円 > 任継…約36,300円

※「国保」は小樽市の場合、「任継」は協会けんぽ(北海道)の場合による「概算額」になります。

このケースの場合では「月収約32万円」でした。

ただし、繰り返しになりますが、「任継」と「国保」では「保険料の計算に用いる材料」が全く異なりますので、たとえば「配偶者の収入額」や「扶養家族の人数」などが変わると結果は全く異なりますので、ご注意ください。

なお、「国保」の保険料は計算が煩雑ですので、役所の窓口(小樽市の場合、別館1階15番窓口)で試算をしてもらうのがベストですが、インターネット上の「試算サイト」で試算をして、その結果を参考にされるのも良いかと思います。

ところで、気付いた方もおられるかもしれませんが、「任継」の場合は「月収30万円」の方と「月収40万円」の方の保険料は全く同じです。

これは入力ミスではなく、任継の保険料の計算では、

・「退職時の標準報酬月額(≒月収)」と

・「協会けんぽの全被保険者の標準報酬月額の平均額(令和5年度は30万円)」

とを比較し、「低い方の額」をもとに計算するため、退職時の標準報酬月額(≒月収)が30万円以上の方の場合、保険料は変わらないということになります(一部の健康保険組合では、この考え方によらない計算方法を定めている場合があります)。

ただし現役時の「健康保険」では、保険料の半額を会社が負担してくれましたが、「任継」の場合は全額自己負担になりますので、現役時よりも保険料が高くなるのが一般的です。

※ 「標準報酬月額」は、社会保険料の計算をしやすくするために、被保険者(従業員)が得た給与などのひと月分の報酬を一定の範囲ごとに区分したものです。このため言葉の意味は異なりますが、当コラムでは分かりやすさを優先し、「月収」と言い換えております。

3 「任継」から「国保」に、上手に切替えを!

このように、「国保」か「任継」かを選ぶときは、「保険料の額で比較をする」のが一般的です。

「任継」を選んで加入した場合、加入時に決められた保険料で最長2年間加入できますが、いつでも脱退することもできます。

というのも、たとえば退職後に収入が大きく減少した方の場合には、退職の翌年には一般に「国保」の方が保険料が安くなるのです。

このような方は、「国保」への切り替えを検討しましょう(先に述べた「任継」に加入するメリットがある方は別です)。

「国保」には低所得者に対する保険料の減額制度もあることから、適用される場合には保険料が大幅に下がることもあります。

これはとても重要なポイントですので、ぜひ知っておきましょう。

さて、「退職後のライフプラン」に関しては、当事務所でも多くのご相談をお受けしております。

本日お話しした「健康保険」のお話しも、お話しをしております。

お客様からは、「退職後のライフプランをFPと一緒に作り上げる過程で、退職後の生活に色々な「気づき」が得られた」ですとか、「これからの生活に「家計のホームドクター」がついているという「安心」が得られる」のご感想をいただいております。

当事務所では時間制のご相談も承っておりますが、「退職後のライフプラン」に関しては、多くの方が最終的に「家計の改善」を望まれることから、「ライフプラン実現相談」をお選びいただいております。

「ライフプラン実現相談」とは

「ライフプラン実現相談」は、

① お客様へのカウンセリング(約2時間) … いわゆる「問診」

 ライフプランソフトによる家計分析 … いわゆる「検査」

③ 家計改善のご提案(約2時間) … いわゆる「治療」

④ 分析結果レポート(フルカラー、約20~30ページ)のお渡し … いわゆる「処方せん」

をセットにした、「フルパッケージ」のご相談メニューとなっております(くわしくは、こちらからどうぞ)

ご相談料金は30,000円(税込)となりますが、お金の面で不安なくセカンドライフをお過ごしいただけますよう、時間をかけ、誠実かつ丁寧なご対応を心がけております。

※ 誠に恐れ入りますが、4月から相談料の改定および相談メニューの一部変更を予定しております。改めてお知らせをさせていただきます。

ご不明の点などありましたら、お気軽に問い合わせください。ご相談をお待ちしております。

今回もご覧いただき、誠にありがとうございました。次回の内容はまだ未定ですが、どうぞお楽しみに!