知っておきたい!高等教育の修学支援新制度

ご覧いただき、ありがとうございます。

今週と来週は、一昨日(5日)に「FMおたる」で放送した、「FP辰田のサン・サン・トーク!」との連動企画になります。

一昨日は、「パパ・ママが知っておきたい、教育費の最新情報」というテーマで、FMおたるアナウンサーの田口智子さんとお送りしました。

まだお聞きになられていない方は、よろしければこちらからお聞きください。

さて今回は、放送内であまり触れられなかった、低所得世帯のお子様が大学や専門学校などに進学する際に給付型の奨学金が支給される、「高等教育の就学支援新制度」について書こうと思います。

放送でも少し触れましたが、一昨日の新聞各紙朝刊で、文部科学省が、本制度の支給対象者を拡大するとの記事が掲載されました。

ただ、多くの親御さんは、「給付型の奨学金って何?」とか、「うちの子ももらえるの?」といった疑問をお持ちなのではないでしょうか。

そこで本日は、「高等教育の就学支援新制度」についてご説明しようと思います。

1 そもそも、「高等教育の就学支援新制度」とは?

「高等教育の就学支援新制度」は、経済的理由で大学等への進学をあきらめないよう、2020 年4 月にスタートした返済不要の奨学金制度です。

世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、しっかりとした「学ぶ意欲」があれば支援を受けることができるとされています。

国の独立行政法人である、「日本学生支援機構(通称:JASSO(ジャッソ))」が制度を運用しており、窓口となっています。

奨学金の申請には、進学前に申請する「予約採用」と、進学後に申請する「在学採用」があり、判定の基準も異なるようです。

それでは、この制度では、どのくらいの額が支給されるのでしょうか?

たとえば、昼間部の大学に進学した場合ですと…、

「高等教育の就学支援新制度」による支給額(国公立と私立、自宅通学と自宅外通学とで異なります)

① 給付型奨学金の支給額

・第1区分 … 月額29,200円~75,800円

・第2区分 … 月額19,500円~50,600円

・第3区分 … 月額9,800円~25,300円

② 授業料等減免額

・第1区分 … 年額535,800円~700,000円

・第2区分 … 年額357,200円~466,700円

・第3区分 … 年額178,600円~233,400円

※このほか、入学金についても一定額の減免があります。

いかがでしょうか?

「高等教育の就学支援新制度」では、「給付型奨学金」そのものに加えて「授業料の減免」も受けられる仕組みになっていますので、合わせると、在学4年間で実質500万円以上の給付を受けることができる場合もあります。

「こんなにたくさん?」とビックリされた方も多いのではないでしょうか。

そして今週3日に、文部科学省が2024年度から「多子世帯」と「理工農系学部」の学生を対象に、この制度の年収上限(次項でご紹介します)の目安を、現在の380万円から600万円に拡大すると発表しました。

これにより、約20万人の学生が新たに対象となるようです。

正式に決定次第、本コラムでも改めて取り上げようと思いますが、新たに対象となる学生への実質給付額は最大で100万円強になるのではないかと思います。

それでも大きな額であることには変わりませんので、今後も注目していこうと思います。

2 「高等教育の就学支援新制度」の対象者は?

これだけ多額の奨学金が支給されるとなると、その条件(≒判定基準)を知りたいという方も多いのではないでしょうか。

その判定基準には、「学力基準」と「家計基準」の2つがあり、その両方をクリアする必要があります。

ここでは、進学前に申請する「予約採用」の基準を紹介します。

「高等教育の就学支援新制度」の判定基準(「予約採用」の場合)

【1】学力基準

以下の1.もしくは2.のいずれかに該当すること。

1. 高等学校等における全履修科目の評定平均値が、5 段階評価で3.5 以上であること

2. 将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有すること(※)

※ 学修意欲等の確認は、高等学校等において面談の実施又はレポートの提出等により行います。

【2】家計基準

申込者本人と生計維持者が、次の「収入基準」及び「資産基準」のいずれにも該当すること。

(1)収入基準

世帯年収の目安(両親と子ども3人(大学生・高校生・中学生)の場合)

第1区分:270万円未満

第2区分:300万円未満

第3区分:380万円未満

(2)資産基準

申込日時点の申込者本人と生計維持者(2 人)の資産額の合計が2,000 万円未満(生計維持者が1 人のときは1,250 万円未満)であること

ただし、これらはあくまでも目安ですので、対象になりえるかの大まかな判定は、「日本学生支援機構 進学資金シミュレーター」でご確認ください。

このように、いくつかの要件がありますが、まず気になるのは「学力基準」ではないでしょうか。

「5段階評価で3.5未満」の申請者がどのくらい採用されるのかについて調べましたが、見解は様々で、よく分からないところがあります。

ただ、「5 段階評価で3.5 未満」であっても、学修意欲があれば奨学金の給付対象となる可能性はあるので、まずは申請することが重要ではないかと思います。

また、「資産基準」でいう「資産」は、現金やこれに準ずるもの(投資信託、投資用資産として保有する金・銀等)、預貯金、有価証券の合計額をいいます。

したがって、土地・建物等の不動産ですとか、貯蓄型の生命保険や学資保険は含みません。ただし、満期や解約により現金化等した場合には、資産として計上が必要になります。このほか、住宅ローン等の負債と相殺することはできません。

3 まもなく申請期間です。可能性がありそうなら、まず申請を!

いかがでしたでしょうか。

「高等教育の就学支援新制度」では、最大で月額75,800 円が奨学金として給付されるうえ、入学金や授業料も実質無償となる可能性があります。

これらを合わせると、大学に在学する4年間で実質500万円以上の給付を受けられる場合もありますので、対象となる可能性のありそうなお子様は、ぜひ申請しましょう!

申請時期ですが、進学前に申請する「予約採用」の場合、申請期間は一般に、高校3 年時の4 月下旬となります。すなわち「今月の下旬」ですので、まもなくです。

また、高校によって締め切りの時期が異なりますので、在学中の高校等でしっかり確認をしておきましょう。

さて先月までは、「ご不明の点などありましたら、当事務所までご相談ください!」と書いておりましたが、今月からは「FP辰田のサン・サン・セミナー!」を始めましたので、セミナーでご質問いただくこともできるようになりました。

よろしければ、ご参加をお待ちしております!

・「FP辰田のサン・サン・セミナー!」については、こちらからどうぞ

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

来週も「FP辰田のサン・サン・トーク!」とのコラボ企画としてお送りしますが、「学資保険」について書こうと思っています。お楽しみに!